発達障害

なぜ大人の発達障害は生きづらいのか?ADHD本人が考えてみる

近年、ネットや書物で「大人の発達障害」がちょっとしたブームになっています。そのためか、「自分は発達障害に違いない」と信じて疑わず精神科や心療内科を受診する人が増えているようです。

一種の社会現象となっているこの「発達障害」を持っていると、現代社会では生きづらさを感じると言われています。

それではどのような点でこの「生きづらさ」を感じるのでしょうか

発達障害とはズバリ感覚過敏

さて、そもそも発達障害とは何ぞや?ということで簡単に説明していきたいと思います。

大きく分けて発達障害には

  • ADHD(注意欠陥多動性障害)
  • 自閉症スペクトラム(いわゆるアスペルガー)
  • LD(学習障害)

の三種類が存在します。(この記事ではLDについて触れません。)

多くのサイトでは「ADHDは○○のような特徴があります

というように便宜上各発達障害に分けて特徴を説明していますが、自分の主観も交えて一つの脳の先天的な障害として特徴を紹介していきます。

つまり発達障害とは「感覚過敏」と私は考えています。

感覚過敏という点から発達障害がどのように生きづらさを感じる原因を作り出しているのかを説明していきます。

視覚過敏

視覚過敏の例でよく挙げられるのが以下の特徴です。

  • 蛍光灯が明るくて目が痛い
  • 白いノートを見ると目が痛い

視覚過敏は自閉症スペクトラムの人に主にみられると書かれてあるサイトが多いです。

それではADHDではこれらの症状は現れないのか?というとそんなことはありません。

ADHDの大きな特徴である「集中することができない」原因の一つがこの視覚過敏によるものだと私は考えます。

例えば外を歩いていると、木や人や光や建物など様々な視覚情報が一気に入ってきます。

普通の人なら様々な視覚情報から必要な情報だけを取り入れることができますが、ADHDの場合は視覚情報の選択的注意が難しくなります。

これは聴覚過敏によるカクテルパーティー効果に似ていますね。カクテルパーティー効果については後述します。

つまり視覚過敏ゆえに選択的注意が難しく、大量の情報を取り入れてしまい、情報を処理することができず結果として一つのことに集中できなくなってしまうのです。

勉強してるときや本を読んでいるときに次のような経験はありませんか?

  • 知らない単語や理解しにくい文章が出てきたら、そのことが気になってしまい全く別の妄想が始まってしまう。
  • 周囲で人や物が動いたりしたときに集中が途切れて今まで自分が何やっていたのか忘れてしまう。

これも視覚過敏ゆえに選択的注意がうまくできずに目の前のことができなくなってしまうものです。

コミュニケーションにおける視覚過敏

主に自閉症スペクトラムの特徴と言われている次のことを考えてみましょう。

  • 相手の気持ちが読み取れないため、空気の読めない発言をしてしまう

これは自閉症スペクトラムの人が他人の感情を読み取ることができないのではなく、相手の表情を理解することが難しいのです。

どういうことかというと、視覚過敏ゆえに相手の表情の全体像を見ることが難しく

「相手の眼だけ」「相手の指だけ」

など相手の体の一部の情報しかインプットできないということです。

すると当然、相手の本心を理解することやその場の空気を察するなんてことはできません。

上記のような自閉症スペクトラムの特徴は「物事の一部分にこだわり全体像を見ることができない」と言われることが多いです。

次にADHDのコミュケーション障害の特徴といわれる現象を考えてみましょう。

  • 人と話してるときに(または話を聞いているとき)目に入ったものに対して興味が移ってしまい話の内容が分からなくなる。

これは視覚過敏ゆえに相手の表情や外の風景などの変化に敏感になっており、

その変化の原因を解明することが脳の中で最優先事項になってしまうということです。

以上のことをまとめると同じ発達障害の視覚過敏でも視覚情報に対してどう処理するのかの違いが出てきます。

  • ADHD → 視覚過敏ゆえに大量の視覚情報を取り入れ、その「変化」に過敏である
  • 自閉症スペクトラム → 視覚過敏ゆえに普通の人より多くの視覚情報を取り入れることができない

この違いを見て

「え、結局視覚過敏だと多くの視覚情報を取り入れることができるの?できないの?矛盾してるじゃん」

と疑問に思うかもしれません。

ADHDは作動記憶(いわゆるワーキングメモリ)が弱いといわれています。

つまり新しい視覚情報が脳に入ってきた時点で古い視覚情報は脳内から消えているんですね。

以上から発達障害の視覚過敏は多くの視覚情報を脳に取り入れることが難しい、と言えます。

ADHDと自閉症スペクトラムでは何が違うのか? 

これは愚問のように思えますが、あえて違いを挙げるなら、脳の使い方です。

両者の脳の使い方の違いを分かりやすく極端に言えば、

  • 視覚情報を大量に取り入れて大量に忘れていくのがADHD
  • そもそもほとんど視覚情報を取り入れないのが自閉症スペクトラム

となります。

「同じ視覚過敏を持っているが脳の使い方が180度違う」という点で医学的にはADHDと自閉症スペクトラムは区別されるものですが、

使っている脳の部位が違うため当然両方の特徴を持ち合わせていてもおかしくはないのです。

この脳の使い分けに関しては普通の人にも通じる部分が多く、無意識に場面や事柄によって脳の使い方を分けているのです。

視覚過敏からいえることは、

「発達障害とは情報過多の現代社会においてその特性上、社会に適合しにくい」

ということであり、普通の人と発達障害の人の間には明確な線引きは存在せず、

その特性はスペクトラム上になっていると分かります。

聴覚過敏

聴覚過敏とは…

  • 人の声やうるさい物音に対して敏感で、重症の場合は体調不良にもなりうる

これは多くの人に言えることですが、集中しているときに予想を上回る物音がした場合は集中が途切れますよね。

これは脳の生存本能によるもので、個人の予想を上回る五感の情報に対しては反応するようになっています。

しかしそれが雑音程度であったりものすごい小さい音ならば普通は気にすることがありません。

しかし聴覚過敏の場合はその小さい音や雑音を取り除くことができず、社会生活にまで影響が及ぶことがあります。具体的には以下のような障害が生じる場合が多いです。

  • 仕事や勉強に集中することができず、結果的にうつ病などの二次疾患を患う可能性がある
  • 物音が気になり、十分な睡眠をとることができず、睡眠障害やうつ病になる可能性がある
  • カクテルパーティー効果(選択的聴取)がうまく機能せず人の話を聞くことができず、社会不安障害に発展する可能性がある

コミュケーションにおける聴覚過敏

先程の例で挙げた「カクテルパーティー効果」について考えてみましょう。

カクテルパーティー効果とは簡単に言うと

「雑音の中でも自分が注意している音や声、単語などは自然と聞き取ることができる」

というものです。

分かりやすい例を挙げてみましょう。

  • 飲み会などで大勢の人が話しているときに、誰がどのような話をしているのかがわからない
  • 頑張って聞き取ろうとしても聞こえないor聞き取ることが異常に疲れる
  • 自分以外は楽しそうに話しているのに、何を話しているのか聞き取ることができず会話についていけない
  • 急に話を振られたときに知ったかぶりのような態度をとってしまう。

このような経験はないでしょうか?

これが原因でコミュケーションをすることが億劫になったり、慢性疲労症候群のような体調不良になってしまうケースも少なくありません。

このカクテルパーティー効果に関しては、選択的聴取ができないという点で聴覚鈍麻と言われることもあります。

それに対して多くの音の情報を取り入れてしまう、という聴覚過敏の性質も持ち合わせています。

ADHDでは人の話を聞くことはできるものの、

  • 話を聞いている最中にその話を忘れてしまう
  • 他の音が気になって話の内容が入ってこない
  • そもそも声が聞き取れない

という特徴が挙げられます。

自閉症スペクトラムの場合は

「多くの聴覚情報を処理することができずパニック状態になっている」

という特徴があります。

視覚過敏の時と同様に聴覚過敏でもADHDと自閉症スペクトラムの違いというものは脳の使い方によって現れています。

  • ADHD → 多くの聴覚情報を取り入れるが、脳から古い情報がすぐに消えていくため話を聞くことができない
  • 自閉症スペクトラム → 多くの聴覚情報を処理できないためパニックになる

発達障害における視覚過敏、聴覚過敏の特徴から

一度に多くの情報を脳内に保存することが難しい、できたとしても多大なストレスを感じる

ということが分かります。

発達障害における感覚過敏を抑えるには?

ここまで発達障害はどうして生きづらさを感じるのか、について考えてきました。

それでは発達障害を持っている場合はこの社会で生きていけないのでしょうか?

私はそんなことはないと考えています。

発達障害における感覚過敏は確かに現代社会ではハンデと捉えられがちですが、対策はいくらでもすることができます。

極端な話、周りの人と同じような生き方をする必要はないのです。

本来ならば周りの社会や人に合わせて感覚過敏を抑える必要はないと思っていますが、現実的にこれはなかなか難しく理想論となってしまうことが多いでしょう。

そこでここからは私が考えた感覚過敏の対策を紹介していきます。

  • 心地よいと感じる生地の服を着るようにする
  • 日中はサングラスやブルーライトカット眼鏡をかけるようにする
  • 度数やカーブのあったコンタクトレンズや眼鏡を着用する
  • 可能な限りイヤホンをする(Bluetooth密閉型イヤホンがオススメ)
  • 目薬や酔い止めを持ち歩く
  • エネルギー不足防止のためのチョコや飴を適宜摂取する
  • マスク(周りからの視線や匂い対策)
  • 仕事や学校の環境を変える(在宅や通信など)

ネットで検索すればこれ以外にもたくさん感覚過敏対策が出てくると思います。

今回は私の経験則と個人的な考察から成り立っている記事なので

「こういう意見もあるんだなあ~」程度に思っていただければ幸いです。

ただ、発達障害の人が生きづらさを感じる根本的な原因は、この感覚過敏に集約されているなあと感じたので他の人とは少し違ったアプローチで書いています。

感覚過敏には味覚や触覚などこの記事で紹介したもの以外にも多数ありますが、コミュニケーション能力における障害や、うつ病などの二次疾患につながりやすい「視覚過敏」と「聴覚過敏」について紹介しました。

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