先日、ネットで発達障害の一つであるADHD(注意欠陥多動性障害)は、睡眠障害の一つである過眠症と密接に関係があるという記事を見ました。
その記事では、ADHDの不注意は睡眠障害が原因になっているとも言われており、ADHDの社会適応に対する障害のそもそもの原因が過眠症だとも考えられています。
この衝撃的ともいえる「ADHDと過眠症に関係がある」という説の真偽をADHD当事者の私が確認していきます。
ADHDとは?
ADHDとは注意欠陥多動性障害のことで、発達障害の一つとされています。落ち着きがない多動性、忘れ物が多い不注意などが特徴と挙げられています。
最近の研究ではADHDは脳の前頭前野の不活性が原因という主張があります。脳の前頭前野はいわゆる私たち人間の「理性」をつかさどっている部分です。ADHD治療薬として使われている「コンサータ」はこの前頭前野を活性化する役割を持っています。
実はこの「コンサータ」は「リタリン」というナルコレプシー治療薬と同じ成分「メチルフェニデート」が使われています。一般的にはコンサータはメチルフェニデートの徐放薬(少しずつ溶けるため効果が長時間続く薬)と言われています。
ナルコレプシーとは過眠症の中の一つなのですが、この病気とADHDがメチルフェニデートによって改善するのです。この点からもADHDと過眠症には関係があるのではないか?と考えられそうですね。
過眠症ってなに?
過眠症とは夜の睡眠が十分にとれているにもかかわらず、日中の眠気が耐えられないほどひどく生活に支障が出てしまうことを言います。過眠症はまだ世間での認知度が低く、甘え、怠けなどと言われてしまうことが多いです。過眠症にはナルコレプシー、特発性過眠症、反復性過眠症などがあります。
ADHDと過眠症の関係性とは?
それではADHDと過眠症にはどんな関係性があるのでしょうか?ここでADHDの特徴を書いていきます。
- 興味ないことをやると寝てしまう
- 忘れ物をしやすい
- 集中力の低下
これは主にADHDの不注意の特徴ですが、睡眠に問題があることでADHD特性が出てしまう可能性が否定できません。むしろ過眠症がADHDの不注意の原因なのではないでしょうか?と考えることができます。
このように過眠症とADHDは密接に関係がある可能性があります。
双極性障害とADHDと過眠症の興味深い関係を考察
なぜここで双極性障害?と思う方もいるかもしれません。もともと双極性障害とADHDは併発しやすいといわれており、私も両方の診断を受けています。気分の変化が激しいADHDと双極性障害は確かに密接に関係がありそうですよね。
以前の記事ですが、こちらに双極性障害の症状と睡眠について紹介しています。
双極性障害には「過眠」という症状が出ることがあります。
あれ、これはもしかしたらADHDの過眠と関係があるのではないか…?
と思いませんか?ADHD、過眠症、双極性障害はすべて睡眠における障害があり、睡眠によって気分の浮き沈みが出やすい病気・性質も持っています。
この三つの症状を併発するリスクというのは非常に高いのではないかと考えられます。
睡眠に障害があると双極性障害では衝動性や躁状態がさらに出やすいといわれています。これに関してはADHDの不注意・衝動性にも同じことが言えそうですね。
さらに興味深い傾向があります。ADHD患者の過眠傾向は思春期から青年期に悪化する場合が多く、これは双極性障害・過眠症の発症時期と被っています。
ADHDは生まれつきの特徴ですが「ADHDだと青年期に双極性障害や過眠症を発症しやすい傾向がある」と考えられます。
しかしこれはあくまで仮説の段階ですので今後の研究が進まなければ正解はわかりません。
日中の眠気対策とは?
それでは日中の耐えられない眠気はどのようにすればよいのでしょうか。私個人的な対策法を考えてみました。
- 自分に合った生活リズムで睡眠を十分にとる
- 起きたらコーヒーを飲み頭を覚醒させる
- 医者に処方された薬を飲む
- 運動をしたり外で仕事をしたりして寝ないように体を動かす
自分に合った生活リズムを見つけることは大事です。
一般的には「早寝早起きが一番だ」と言われていますが、人間は生まれた時から朝方・夜型が遺伝的に決まっています。
これに逆らって早起きをするとストレスがたまりやすくうつ病を発症してしまうリスクが高まってしまいます。
そのため自分にとってストレスのない生活をするためにもまずは自分に合った睡眠をとるようにしましょう。
医者にもらった薬、つまりコンサータのことですが、コンサータをのむと微力ながら傾眠(いねむり)を抑えることができます。
カフェインとコンサータの飲み合わせについては医者に相談してみるのが良いと思います。
自分に合った睡眠リズムを見つけよう
ADHDの人は過眠症、双極性障害発症のリスクが高まる傾向がある可能性があります。
睡魔に逆らって社会的な生活リズムに合わせて生活をしてしまうと躁状態が悪化してしまったり、不注意や衝動性が抑えられなくなったりしていまいいいことは一つもありません。
自分に合った生活、睡眠リズムを見つけることがADHDやその他の病気と向き合う第一歩なのかもしれません。