社会で生きてくうえで、他人とのコミュニケーションは必要不可欠なものとなっています。
しかし「共感力」が低いと円滑なコミュニケーションができず、孤立してしまう可能性があります。
ところで、共感は二種類ある事をご存じですか?
二種類の共感の違いを理解することでどのような点で「共感力」が足りないのかがより分かります。
そこでこの記事では「共感力」がない人の特徴と、コミュニケーションをより円滑なものにする対処法を紹介します。
共感には二種類あるって本当?
共感能力がないといっても、実は共感には二種類あるので、
「相手の気持ちが分からないから共感能力がない……」
ということにはならないのです。
共感には、
- 情動的共感
- 認知的共感
の二種類があり、それぞれの特徴は全く違うため、混同しないようにすることがコミュニケーションをより良いものにする第一歩です。
情動的共感
情動的共感とは、簡単に言うと、
相手の気持ちや感情を理解する能力のことです。
例えば……
相手が悩み事を抱えていて困っているときに、相手の苦悩を感じ取り、相談に乗ってあげたり、相手のことを労わってあげたりすることができる能力のことです。
一般的に共感能力というと「相手を思いやる気持ち」という意味合いが強いですから、この情動的共感のことを指すのでしょう。
発達障害の方や自閉症の方はよく「共感能力がない」といわれていますが、
この「情動的共感」は持っていることが多いと言われています。
実際に感情を理解することはできても、「なぜそういう感情になったのか」「対処法が分からない」といった問題点があるので「コミュニケーション能力がない」といわれてしまうのです。
さらに対人関係で失敗し続けるとトラウマになってしまい、二次障害に発展する可能性もあります。
認知的共感
「情動的共感があれば人として思いやりのある温かい言動ができるんじゃないか?」
と思うかもしれませんが、それだけでは足りないのです。
情動的共感のほかに、認知的共感というものがあり、
「相手が今どのような感情でそのようになった経緯・原因も理解できる能力」
も必要です。
例えば……
相手が悩み事を抱えていて困っているときに、相手がなぜ悩んでいるのか、相手が今どのような感情を抱いているのかを表情や言動から理解することができる能力のことです。
認知的共感が欠けていると、いくら思いやりのある言動をしても逆に相手を怒らせてしまうかもしれません。
サイコパスといわれる反社会性パーソナリティー障害の方はよく「共感能力が低い」といわれますが、発達障害や自閉症の場合と逆で、
情動的共感が極端に欠けている一方、認知的共感は優れている場合が多いです。
サイコパスは相手の感情を理解できる上に情動的共感が欠けているため、自分の思い通りに相手の感情や言動をコントロールすることに長けていると言えます。
ネットでよくサイコパスと発達障害が混同されていることがありますが、共感能力において両者の間には大きな差がある事がわかったと思います。
共感力がない人の特徴とは?
それでは共感能力がない人の特徴を、二種類の共感に分類して紹介していきましょう。
自己中心的である
自己中心的な人は相手の気持ちを思いやることがないので、共感力が低い人といわれます。
この場合、情動的共感が低いということはすぐにわかりますが、認知的共感があるかどうかはわかりません。
相手の言動をコントロールしようとしたり社会的地位が高い場合は、洞察力が高い傾向があるので認知的共感はあると言えます。
他人に興味がない
他人に興味がない場合は、自分の思いもよらぬところで相手に不快な思いをさせてしまっている場合があります。
相手の存在にそもそも興味がないので、共感性は低いと思われるでしょう。
わが道を行くタイプで他人とのコミュニケーションに慣れていない場合もあります。
相手の気持ちが理解できない
相手が困っていることは理解できるけど、何で困っているのかがわからないため、とんちんかんな対応をしてしまい、相手を逆上させてしまうことがあります。
この場合、情動的共感能力は普通に備わっているのですが、認知的共感能力が欠けているため、相手を怒らせてしまいます。
自分がこのような目に合った時はとても悲しくなります……
このような人は基本的にとてもやさしい人なのですが、対人関係でストレスを抱えることが多くなるので徐々に社会に適合するのが難しくなってしまうのです。
自閉症スペクトラムにおいて「相手の気持ちが理解できない」代表的な特徴として取り上げられることが多いですね。
思いやる気持ちが空回りしてしまう
簡単に言うと余計なお世話をしてしまうタイプです。
本人も全く悪気がなく、善意で相手のことを思いやっていることが多いので、相手側としてはとても困っていしまいます。
思いやりがあるので情動的共感能力はありますが、相手が何に困っているのかを正確に理解できないため、認知的共感が欠けています。
円滑なコミュニケーションをとるための対処法
このように一言で「共感力が低い」といっても二種類の共感のうち一つは普通に備わっていることが多いです。
それでは上記の特徴に合わせて、どのような対処をすればコミュニケーションがよりできるようになるのか?ということについて考えていきます。
趣味の合う人や興味のある人と関わる
自己中心的な人の場合、自分と同じような価値観を持っている人となら会話を対等にできる場合が多いです。
同じような価値観を持っている人の見つけ方としては、
- 自分と似た趣味を持っている人を探す
- 自分と境遇が似ている
などが挙げられます。
自分と価値観が違うとどうしても強気に出てしまったり、相手の気持ちを考えない自己中心的な言動をしてしまうことはあります。
周りに合わせさせるのではなく、自分が合うような人や環境に出会うことが大切です。
無理に他人と関わろうとしない
他人に興味がない場合は、無理して他人と関わる必要はありません。
人と関わるのが苦手だったり、対人関係に極度のストレスを感じる人は多い傾向にあります。
どうしても必要な場合や、趣味が合う人と話すようにすることで「共感力が低い」なんて言われる環境から抜け出すことができますよね。
余計なお世話をしない
余計なお世話をしてしまう人はとてもやさしい人なんだと思います。
人が困っているのを見たら、まずは一回落ち着きましょう。
こちらから行動するのではなく受け身に回ることで相手から話を聞きだすことが可能かもしれません。
困っている相手に対しては基本聞き役のスタイルで行きましょう。
- 相槌を打つ
- 相手の言ったことを繰り返す
- 自分の意見は言わない
この三つを守るだけであなたのコミュニケーションスキルは格段に上がるでしょう。
少なくとも余計なお世話をする人だとは思われなくなります。
相手の状況をしっかり理解してから行動に出ることができれば、それはもう素晴らしいですよね。
二種類の共感力を理解してコミュニケーションを取ろう
今回のポイントは……
- 情動的共感
- 認知的共感
という二種類の共感があり、一言で「共感力が低い」といっても
特徴や対処法が異なってきます。
これらのポイントを頭に入れて少しでも生きづらさが改善出来たら幸いです。

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